子どもの授業参観に行ったら、自分が子どもの頃と全然違う…そう感じたことはありませんか?
「先生が教える」のではなく、子どもたちが自ら学びを進めている。
実は、これこそが現代の教育改革の核心なのです。
今回は、元教員の筆者自身の経験も交えながら、なぜ「授業参観」が「学習参観」に変わり、今の子どもたちの学びが「主体的」になったのか、その理由を徹底解説します。
- 「授業参観」から「学習参観」への変化の理由
- 先生が「教える」から「見守る」に変わった背景
- 現代の「主体的・対話的な学び」とは何か
「授業参観」から「学習参観」へ、名称が変わった理由
子どもの頃、先生から配られた「授業参観のお知らせ」。
教室の後ろに親がずらりと並んで、先生が教科書に沿って授業を進める。子どもは先生の問いかけに一斉に手を挙げる。そんな光景が目に浮かびますよね。
ところが、今の学校では「学習参観」と書かれたプリントが配られます。
一見同じようですが、実際に学校に行ってみると、そのニュアンスの違いに驚かされます。
先生は前に立って一方的に教えるのではなく、子どもたちが自分で、あるいは友達と話し合いながら、学びを進めているのです。
元教員の筆者は、思わず「先生はどんな授業をするんだろう?」と見てしまうのですが、今の先生たちは「教える」ことよりも、子どもの学びを「支える」「整理する」「活性化する」ことに徹しています。
そして、授業の始まりに日直の子が「これから5時間目の学習を始めます」と挨拶するのを聞いて、ハッと気づきました。
そうか、「授業」ではなく「学習」なんだ。
子どもが「主体」だから、授業を「参観」するのではなく、子どもが「学習」する様子を「参観」するんだ、と。
「子どもが主体」の学びとは?
では、なぜここまで学びのスタイルが変わったのでしょうか?
その最大のきっかけは、文部科学省が定める学習指導要領の改訂です。
2020年度から順次実施されている新しい学習指導要領の総則には、「主体的・対話的で深い学び」という言葉が明記されています。
これは、先生が一方的に知識を教え込むのではなく、子どもたちが自ら問いを立て、友達と対話し、深く考えることを重視する教育の方向性を示しています。
先生は「教える」のではなく、「学びをデザインする」役割に。
- 主体的
子ども自身が興味・関心を持って、自ら学びを進める - 対話的
友達と意見を交換し、多様な考えに触れることで学びを深める - 深い学び
学んだ知識を定着させるだけでなく、活用できる力や思考力を養う
「先生が何を教えるか」ではなく、「子どもがどう学ぶか」を重視するスタイルに転換しているのです。もちろん、全く教えないわけではありません。以前に比べて「学習内容」よりも「学習の進め方」を教えているのが特徴です。
「今の授業、何やってるか分からない…」保護者の声
しかし、この学びの転換は、私たち保護者世代に戸惑いも生んでいます。
「学習参観に行っても、先生は教えてくれないし、子どもたちもそれぞれ進度が違って、何をしているのか全然わからない。このままで大丈夫?」
このような不安の声は少なくありません。
私たち保護者世代は、先生が前に立って一斉に授業を進める「一斉学習」が当たり前でした。だからこそ、「先生が教えてくれない」という状況に不安を感じてしまうのです。
この不安を解消するためには、私たち大人がまず、「主体的・対話的で深い学び」とは何かを理解することが不可欠です。
子どもたちの学びを応援するためには、私たち保護者も一緒に学び続けることが大切です。
次回は、「主体的・対話的で深い学び」がなぜ今重視されているのか、その具体的なメリットについて、さらに詳しく掘り下げていきたいと思います。